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2010年9月 5日(日) 05:43 JST

アルク高校教材編集部レポートVol.30
~第7回英語教師塾 参加報告~

去る11/28(土)、灘中学・高等学校 木村達哉先生主催の英語教師塾が(株)ベネッセ コーポレーション九州事業所で開催されました。今回はその模様をレポートいたします。

今回で第7回となる英語教師塾。開催の流れは、55名の参加者のうち12名が、木村先生より事前に提示された課題の中から1つを選び、20分でその課題に関する模擬授業を実施するというものです。それぞれの授業が終わると、他の参加者からの質疑応答を受け、その後、木村先生が講評を述べます。そして最後に木村先生が模範授業を実施します。今回も、九州のみならず関東、関西からも先生方が集まり、教室に熱気があふれる中8時間もの長時間にわたって、模擬授業や活発な意見交換が行われました。

~「英作文」模擬授業 ~

今回の課題は「英作文」。木村先生から提示された3つの課題中から1つを選び英作文の授業を行います。最終的に解答として求められるレベルの英文を書くことに至るにはどういったアプローチをすればよいのか、先生方はそれぞれに工夫され、授業されていらっしゃいました。

例えば、ある先生は以下のような流れで授業をされました。
①和文の中のキーワードとなる語を取り上げ、英語に置き換えます。
②作文をする上での注意点をいくつか「Point」として解説しながら、作文作業を進めていきます。特に生徒の間違いやすい個所や、どの単語を使って表現するのか迷うことの多い個所を取り上げて説明します。
③ポイントとなる部分の内容を把握したところで、短いまとまりごと分けて、それぞれを英語に置き換えます。そして最後にまとめて一文に仕上げます。

また、ある先生は以下のような授業をされました。
①和文の構造分析をし、和文の内容すなわち日本語の意味を理解させる。
②分析したまとまりごとに英語をあてはめていく。
③最後にそのまとまりを、文法を使って組み立てて英文を完成させる。

多くの先生が、英語に訳す前にまず「和文和訳」をして、生徒が自分自身で理解できる日本語に直し、その内容を把握してから英語に置き換える作業をする、という流れで授業をされていました。英作文の授業では「筆者が何を言いたいのか」を理解することが最も重要なので、そこをどうすれば生徒がしっかりと理解できるのか、先生方が試行錯誤し、研究されていることがよくわかりました。

~木村先生による模擬授業~

最後に木村先生が、課題として提示した和文を使って、高校1、2年生を対象にした場合と、高校3年生を対象とした場合の、2つのパターンの模擬授業を実施されました。まずは高1、高2を対象とした授業です。

①内容把握
和文を吟味し、「筆者の言いたいことは何か」を理解させます。

②和文の構造分析
文の核となっている要素(SVOなど)を抜き出し、分の基本構造を板書で図解した上で、そこに補足情報となる要素を付け足していきます。

③訳例の解説
訳例が3~4つ書かれたプリントを配り、その訳例を見ながら、英文をそれぞれ検証し、文の構造や重要文法を解説していきます。
 必ず行っているのが冠詞についての質問です。「どうしてここには ’’a’’ ではなく ‘’the’’ が入るのか」などと、生徒に質問を投げかけます。どの冠詞を使うべきか常に考える習慣をつけさせるために、中1からこういった質問を繰り返し投げかけ、高3になっても続けます。そのようにして、見落としがちな冠詞までも徹底して考える習慣をつけさせているそうです。

④音読・暗唱
最後に生徒が文中に出てきた文法をきちんと理解しているかどうかを確かめるため、文中の重要文法(今回は関係詞と付帯状況)を使った15題の英文とその日本語訳の書かれたプリントを配ります。そしてその例文を音読し、暗唱までさせます。
最初は英文と日本語訳を見比べ、意味を理解しながら音読し、だんだんスピードを上げていきます。1つの文につき20回は読みます。音読が終わると、先生の合図とともにプリントをしまい、先生が生徒を当てて暗唱させます。その際に例文そのままでなく、生徒の身近な話題を使った内容に少しずつ変えるので、応用力も要求され大変です。こうした活動を通じて、生徒は15題の例文を30分あれば覚えてしまうそうです。

次に、高3対象の授業が行われました。こちらも高1、高2対象の授業と流れは変わりません。違う点は、訳例の解説の際に高1、高2では重要文法の解説をしますが、高3では最初に文法の解説はしないところです。課題文が長く、難しくなるので、文中の表現が難しい個所を抜き出し、訳しやすい日本語に直してから、それぞれに英語をあてはめます。このようにして作った英語のパーツを、最後に文の構造を考えながら組み立てて1つの文にします。つまり、和文和訳の作業をより詳しく行います。
そしてその後は訳例の音読と暗唱です。かなり長い文になりますが、生徒は6年間ずっと音読・暗唱を繰り返してきているので、苦労しながらも暗唱するそうです。

時間配分についてですが、プリントで解答を配り解説をするところ(模擬授業①~③)までが10分で、あとはひたすら音読・暗唱をする(模擬授業④)といった流れです。プリントで対処することで時間を節約し、その節約した時間は音読・暗唱の時間に充て、学んだ英語を使えるようにすることを心がけているそうです。

このように、木村先生の授業は決して楽なものではありません。しかし、難しいタスクであっても継続しているとそれが習慣となり、そして実力となるため、こうした流れで授業をされているそうです。木村先生は「教師が、『これは生徒たちには難しいだろう』と生徒の限界を決めてしまうのは良くありません。生徒にどこまでやらせるかは、常に自分の経験によってではなく、目の前の生徒を見ながら考えています。多少無理なように思えても、まずはやらせてみる方が良いのです。そうするとできてしまうこともあり、逆にこちらが驚かされることも多いのです」とおっしゃっていました。

英作文をする上では、文法を理解していてもいざ表現するとなると全く書けないという状況がよくあり、授業のポイントとなるのは、文法力と作文力をどうやって結び付けるかということだそうです。そのアプローチ方法について、先生方は大変悩まれていることがよく分かりました。今回の英語教師塾では、「和文和訳や、和文の構造分析をすることで、和文の内容を理解させた上で、英語を当てはめて、文法を使って組み立てていく」アプローチをすることが有効だということが分かりました。多くの先生方にもヒントとなる部分があったのではないかと思います。

模擬授業をされた先生方、本当にお疲れ様でした。また、このような情報共有の場を提供して下さった木村先生に大変感謝しております。これからも、熱い英語教師塾の開催を楽しみにしております。

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最終更新日: 2010年3月18日(木) 14:14 JST; 1,361 閲覧件数 印刷用画面