英語の先生応援団 高校の英語の先生を応援します!    

2010年9月 6日(月) 14:12 JST

私の授業内容、公開します!--立教池袋高等学校 安原 章先生

安原先生の高校1年生を対象とした「英文法の授業」は、発信型英文法を獲得するのに非常に有効な授業でした。先生の創意あふれる授業内容の一端を、ご紹介したいと思います。
この日の授業では、「仮定法過去」がテーマでした。

授業の冒頭では、前回の授業で扱った例文を記載されたプリントを配ります。ただし、例文は「動詞が原形になっており、適切な形に変える」といった問題形式になっています。キーワードから「口頭一本」で生徒さんが繰り返し音読。生徒には正解を書かせないように指示をします。また、一度読み始めた文は、プリントを見ずに言いきるよう告げます。


例えば、プリントの次のようなキーワードから、その問題に答えるように、以下の要領で、
先生のさまざまなヒントやサポートのもと、繰り返し生徒が音読していきます。

[プリント記載] What ( happen / I / press ) that red button?

[口頭一本]   What would happen if I pressed that red button?(音読)

①生徒1人を指名し、プリントの問題に口頭で答えさせます。
 この時点で答えをプリントに記入してはいけません。ほかの生徒も同じです。

②その問題の答えを確認する意味で、先生が音読し、クラス全員で
 リピートします。この時点でも、答えは書いてはいけません。

③最初に答えた生徒とは別の生徒を指名し、確認の意味でもう一度音読させます。
 この時、初めて答えを書くことが許されます。

このように、 プリントに答えを書き込まずに音読させることによって、 いつでも瞬時に文を組み立てられる力を養うことができるのです。また、 きちんと音読していないと指名された時に答えられないので、 生徒を授業に集中させる効果もあります。
授業が温まってきたところから、「仮定法過去」の解説に入りました。 解説は要点のみに絞り、解説用の例文は生徒の関心がありそうな内容で先生が作成し、 ネイティブチェックをかけたものを使われていました。

最後に、「Exercises」に入ります。ここでも、空欄補充問題やif節への書き換え問題など、 正解をすぐにプリントに書き入れさせず、まずは「口頭一本」で授業を行い、 宿題として自分で解き、答え合わせをし、正解を書いたものを次の授業時に提出させます。
授業中、先生は各生徒をそれぞれ3~4回程度指名し、毎回、どの程度答えられたかを メモされていました。終始、口頭練習が多く取り入れられ、文法の授業でありながら、 大変アクティブな授業を展開されていました。

発信型文法の獲得のために
ここから、私の授業を紹介したいと思います。私の授業では、 「if + 過去形, S + would + 原形」などの文法用語を用いた公式ではなく、 極力修飾語を排したシンプルな文を意味とともに「すぐに」取り出せる (つまり、話せて書ける)まで憶えさせます。この下地作りは問題演習の時に効果を発揮します。

『マーフィーのケンブリッジ英文法中級編』を授業に使っています。その理由は、 語の配置法や形式だけでなく、意味役割を考えた機能的弁別もできることが 「真のコミュニケーター」であると考えているからです。
現実の場面において重要なのは、例えば「進行相の正しい形を作ること」だけではなく、 それ以前に「単純相(I do)を使うべきか、進行相(I am doing)を使うべきか」あるいは、 「if を使うべきか、in case を使うべきか」という選択を自ら行えるようになる点にあると思います。

私が顧問をしている卓球にたとえると、同じ場所に落とされる打球練習が得意なだけでなく、 次に左右前後どちらに振られるかわからないボールに対しても最適なフォームと打法を瞬時に選び、 対応できる選手こそ、試合で真の力を発揮することができます。

また、他の科目では、ある程度時間がかかっても正解にたどり着けることが大事、 と見なされることがありますが、英語の場合は相手の問いかけにスピーディーに 答えることも非常に大事です。口頭練習を繰り返し、文法を意識しなくなるほどまで 自動化できれば、自信をもって、英語をアウトプットできるようになるのではないかと思っています。

平常点は、テスト1回分
英語学習において重要なのは、英語を受信するだけでなく、発信できることだと考えています。 定期考査では、授業で扱った内容と例文を押さえていれば対応できるような問題を 出すようにしていますが、授業中は、授業態度や発信力をチェック(テスト)するようにしています。

英語は実技科目なので、特に実践の場である授業は大事にして欲しいと考えています。 そこで、平常点は、テスト1回分としてカウントしています。定期考査ではジックリと正解を 導き出すことを課題とし、授業中は回答のスピードも評価するようにしています。

また、自分の学年では他クラスの担任の協力もお願いし、朝礼のある水曜日を除く毎朝の ホームルーム10分間を使い、月・木は漢字テストを実施し、火・金は『キクタンリーディング Basic』の英単語テストを行っています。採点は各クラスの担任が行い、スコア合計の 上位者には学期末にちょっとしたプレゼントを渡すことにしています。少しでも彼らの モチベーションが高まればと願っています。

教師自らも外国語学習の継続を生徒に約束し、生徒と張り合う
「やれ」と命令したり、テストで釣るだけでは、高校生は勉強してくれません。 英語教員は、自分も興味があり、それほど苦労せずに英語を身につけたか、 その苦労を忘れてしまっていることが多いと思われます。
私も、教員になったばかりの頃は、英語が苦手な生徒の目線に立てず、 苦労したことがありました。そこで、今では、生徒の立場になって考えるために、 私自身「韓国語」の学習をしていますが、例えば、ソウルメトロ2号線の駅の プラットフォームに電車が入る時の案内「ただいま電車が…」を韓国語で 言えるようになるまで、100回は音読しました。(クラスは爆笑でした!)

英語をさらに磨きつつ、別の外国語にも触れてみると、どのような学習法が効果的か、 どういう部分でつまずくかが、生徒目線でハッキリと見えてくることがあります。

自らの経験から、外国語学習にはそれ相応のエネルギーと時間と努力が 必要であることを、生徒にどう伝えていくかを考えています。特に、4月の 「授業開き」では、「1年間に韓国語の単語を1000語覚える」といった自分の 目標も伝えるようにして、毎年生徒と張り合いながら自ら学習をしています。
また、英語の習得を楽しめるレベルに達するまではそれ相応の時間とエネルギーが 必要で、進歩が感じられるまではちょっと辛抱しなければ、と納得してもらうようにしています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お読みいただいた先生方に、多少なりとも参考にしていただける部分があれば幸いです。


立教池袋高等学校 英語科 安原 章

他の記事を読む

最終更新日: 2010年3月18日(木) 14:21 JST; 1,518 閲覧件数 印刷用画面